開放型の平面駆動ヘッドホン、HIFIMAN Aryaを購入ししばらく使ったのでレビューします。
ステルスマグネット採用のいわゆるV3になります。
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V1,V2とV3の違い
HIFIMAN Aryaは2度ほどパーツ変更などありまして、現在販売されているのは俗にV3と呼ばれています。
V1とV2とV3では下記の違いがあります。
V1 | V2 | V3 | |
発売 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
ドライバーマグネット | 非対称マグネット | 非対称マグネット | ステルスマグネット |
ドライバーグリル | 金属メッシュ | 化繊メッシュ | 化繊メッシュ |
インピーダンス | 35Ω | 35Ω | 32Ω |
感度 | 90dB | 90dB | 94dB |
周波数 | 8Hz-65kHz | 8Hz-65kHz | 8Hz-65kHz |
V1とV2はほとんど変わっていませんが、V3になってハイエンドのSUSVARAなどにも使われている特許取得のステルスマグネットを採用。歪の少ないより透明感のあるサウンドを手に入れました。
HFIMAN Aryaの外観チェック
箱と付属品
箱は段ボール素材にラベルを貼った簡素な感じです。14万もするヘッドホンなのにエントリーモデルのSUNDARAと同じパッケージなのはちょっと萎えます。
ナノダイアフラムとステルスマグネットのロゴプリント。
スペックのプリント。
開けるとこんな感じ。
箱には保証書と3.5m-6.3mm(約150㎝)ケーブル。ケーブルは単結晶銅で編み上げの被膜保護。端子変換はついてないので、3.5mmや4.4㎜バランス接続するなら別途ケーブルが必要。
緩衝材はヘッドホンスタンドにもなります。
付属品はこんなところ。
ヘッドホン本体
ヘッドバンドは扇状です。
軽い力で広がります。
上部は中抜きして軽量化してますね。
ヘッドバンドは2重構造。
頭に当たるところも合皮ですね。正直、このクラスなら耐久性の高い本革であっても良さそうですが惜しい。柔らかくてフィット感は高め。
スライダーはここをカチカチ動かします。スムーズに動きますね。
ドライバー部分は360度くるくる回転してフィット感を高めます。
イヤーパッドは側面が合皮で、耳側はベロアで耳当たり良いです。クッションは柔らかめ。
ドライバーのグリルは金属っぽいです。光の当たり方で緑っぽく見えるのがV3の特徴でもあります。
端子は3.5mm両出し。HIFIMANのヘッドホンはほとんどこのタイプなのでケーブルを流用できます。
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音場が広く透明感の高い音質
TOPPING D90SE、TOPPING A90Discreteの組み合わせで聴きました。
まずはノーマルケーブルを使っての感想です。
ファーストインプレッションでは普通だった
初めて聞いた印象としては、思っていたよりもフラットというかクセのない音質で、良くも悪くもなく「普通」くらいの感想しかなかったです。ANANDAからのグレードアップとして買ったつもりでしたが、値段が倍するにしては大きな変化はなかったなというのが正直なところでした。
しばらく使って気づく魅力
が、しばらく使ってだいぶ印象は変わります。透き通る高音とスムーズに広がる極上の音場の魅力に惹かれるように。音場が広いぶん、ややヴォーカルは距離を感じますが、まるで目の前で演奏しているような音に包まれる感覚は他では得難いものがあります。
爽やかな低音
低音域は量感が程よく絶妙な鳴り。ズシリと響く重低域をしっかり感じ取ることができ、かといって暑くるしさはありません。風が通り抜けるような心地よい低音表現が素晴らしい。
「FOGET ME NOTS」を聴くとベースはブーミーにならずタイト。ヴォーカルや他の楽器を邪魔せず、絶妙なバランスでグルーヴィにラインを描きます。バスドラムも非常にタイトでリアル。空気を押し出す様子が目に浮かぶようです。
程よい距離感のヴォーカル
ヴォーカルは程よい距離感があります。
「ピリオドとプレリュード」を聞くと、ヴォーカルの距離感がちょうどよく、緻密なアレンジとともに楽曲全体をバランスよく楽しむことができました。
繊細に、丁寧に描く金属音
倍音豊かに生々しく響く金属音が素晴らしいですね。
「TakeFive」ではシンバルやハイハット、スネアのスナッピーの響きがめちゃくちゃ生々しくて惚れ惚れしてまします。かといって主張しすぎず、他の楽器とのバランスも良くて嫌味のない鳴り方が素晴らしいです。
空気感を伝える音場表現、諧調豊かなダイナミクス
Aryaは録音された場所の空気感をうまく表現します。
「威風堂々」(DSD音源)では、各楽器の弱い音から非常に強い音まで階調豊かに表現。さらに、録音されたホールの反射音を逃さず表現し、目を瞑って聴いているとホールの特等席で鑑賞しているような気分になります。
Aryaのバランスケーブルのリケーブルおすすめは?
ノーマルケーブルも悪くはないです。
NOBUNAGA Labsの霧降と蓼科があるのでこちらを試してみます。
NOBUNAGA Labs 霧降にすると音の分離し各音の輪郭がくっきりと
NOBUNAGA Labs霧降はHIFIMAN ANANDAのバランスリケーブル比較レビューでも紹介していますが、ANANDAの時と同じで、各楽器の分離感がグッと増して、音場がさらに広がる印象です。
ノーマルケーブルと比べるとサーっとモヤが晴れたような見晴らしのいい音になりますね。低音域はもっと下の方から音が込み上げるように、高音域はやや鋭さを増して突き抜けるような伸びを獲得します。
「Take Five」を聴くと、ドラムとピアノのアタックが強く感じ、明瞭さが増す印象です。「威風堂々」を聞くと楽器の配置がより明確に感じますね。
Aryaでライブ録音の音源をもっと楽しみたいならおすすめの一本です。
NOBUNAGA LAbs霧降(きりふり)の商品ページ
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NOBUNAGA Labs蓼科
NOBUNAGA Labs蓼科は音場はやや狭くなる印象ですが、低音域の存在感が増して、ヴォーカルがやや近づくことでポップスが楽しくなりました。
「FOGET ME NOTS」や「ピリオドとプレリュード」を聴くと、ノーマルケーブルや霧降よりもヴォーカルが近くなったのがよくわかります。そしてノーマルケーブルより音像がクリアに。
Aryaでヴォーカルメインのポップスを楽しみたいならおすすめの一本です。
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NOBUNAGA Labs 霧降 豪
2023年5月に発売された霧降の上位バージョン。
無印の霧降が4芯であったのに対し霧降 豪は8芯構成になりました。芯線が錫メッキOFCなのは同じ。
Aryaにつないで聴いてみると、無印霧降の空間表現に加えて、一音一音がよりクリアに、芯のある濃密な音になります。心なしかAryaはフォーカスが甘かったような気がしていたのですが、霧降 豪にリケーブルして確信に変わりました。
ノーマルケーブルからのグレードアップはもちろん、無印霧降からのアップグレードとしても十分購入価値のある一本です。
Aryaが「化けた」感があり結構オススメ。
詳しいレビューはこちらこちら
NOBUNAGA Labs 霧降 豪
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アンプのオススメ
アンプは多くを試したわけではないですが、Aryaは比較的鳴らしやすい部類なので、ポータブルアンプでも十分に楽しめます。
現在、手持ちのアンプで使った印象を書いておきます。
FiiO BTR7
小型のポータブルアンプ。FiiOの小型Bluetoothアンプのフラグシップ。普段はSE846で使っています。
GAINをHIGH、バランス接続、8割くらいで十分な音量が得られます。
据え置きのTOPPING D90SE、TOPPING A90Discreteと比べるのは酷ですが、やや高音域の表現や各楽器のフォーカスが甘いものの、悪くないです。低音も十分出ているし十分楽しめます。
レビュー記事:【いきなり比較】FiiO BTR7 と iFi GO blu!
iFi xDSD Gryphon
ポータブルアンプとしてはハイエンドの部類です。
この組み合わせ結構良いですね。据え置きのTOPPING D90SE、TOPPING A90Discreteと比べると、派手さはないものの、高音域は微細な粒子がスムーズに流れるように煌びやか。低音域の適度な厚みと締まり具合も心地いいですね。全体的に丁寧な描写でどんなジャンルも聴きやすいです。
レビュー記事:【ポタアン最終形態】iFi xDSD Gryphonレビュー
TOPPING D90SE、TOPPING A90Discrete
TOPPINGのDACとアンプです。
Aryaと組み合わせると、一点の曇りもないレンズで音の細部を覗き込むような、そんな感覚です。特に高音域に目を向けたときにDACやアンプの表現力の高さを感じ取れますね。繊細な表現をしながらも力強くブレない凛とした音像表現が素晴らしいです。
今回試した中ではこの組み合わせがベストでした。
ただ、中華アンプは保証とか返品とかでリスクあるのが難点。
SENNHEISER HDV820
やや地味にかんじるものの、フラットでどんなジャンルも聴きやすい。音痩せせず、全帯域で芯の通った骨太な音で、Aryaをしっかり駆動できている印象があります。
ANANDAとAryaの比較
HIFIMAN ANANDAと比較します。
スペック
ANANDA | Arya | |
再生周波数 | 8Hz-55kHz | 8Hz-65kHz |
インピーダンス | 16Ω | 32Ω |
感度 | 93dB | 94dB |
重さ | 398g | 430g |
ドライバー | ステルスマグネット
NsD |
ステルスマグネット
NsD |
定価 | 77000 | 145200 |
価格は2倍
- ANANDA…77000円
- Arya…145200円
価格はおよそ倍ほど違います。
装着感はAryaの方がいい
重さやAryaのほうが32g重いですが、装着感はAryaの方が圧倒的にいいですね。
Aryaには二重構造のヘッドバンド、360度回転するドライバーというギミックがありますからね。側圧もAryaのほうがキツさがないです。
音の違い
- ANANDA…Aryaよりも中低域に厚みがあり、ヴォーカルが近い。ポップスが得意。
- Arya…ANANDAよりもヴォーカルがやや遠く、高音域に透明感がありライブ録音の空気感を表現するのに長けている。
ANANDAでスタジオ録音、打ち込み系のポップスを聞いてみると、とても楽しい。中低域に厚みがありベースラインのノリがよく歯切れもいい。そして、ヴォーカルが近く歌を楽しめる。シンバルやハイハットも小気味よく心地いい。ポップスの美味しい部分を引き立てるのが非常に巧いです。
ライブ録音の楽曲なんかはもう少し空気感が欲しいところですが、楽しめないわけではなく、Aryaと比べるとやや物足りない、そんな感じです。
一方で、AryaはANANDAよりも低域は抑えられていて、超高音域がやや強く感じます。会場の空気感を表現するのに長けていて、ライブ録音された楽曲を聴くのに適しています。また、ヴォーカルは、ANANDAよりもやや遠いので、ポップスなどをヴォーカルをメインで聴きたい場合には少々物足りないかもしれません。ANANDAと比べた場合の話で、Aryaでポップスが楽しめないわけではないです。
ANANDAとの比較まとめ
「ANANDAを使ってみた良かったから買ってみようかな」だと失敗すると思います。
「確かにANANDAは良かったけど、もう少しライブ音源が楽しめるといいんだけどなあ」といった向きにはマッチすると思います。
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Aryaは追加投資が怖くなければ買ってもいい
Aryaでジャンルは幅広く聴きたいという場合には条件付きでおススメできます。
- 10万クラスの据え置きバランスアンプを使う
- ケーブルは霧降 豪にリケーブル
この二つの条件で結構化けます。
投資を抑えて平面駆動の開放型を楽しみたいのであればANANDAのほうを検討してみてください。
こちらでレビューしていますのでご参考まで➡【平面駆動の優秀ミドル機】HIFIMAN ANANDAレビュー
HIFIMAN Arya
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