SHURE AONIC FREEをSHUREイヤホン歴18年の筆者がレビューしていきます!
AONIC FREEについて
AONIC FREEはSHURE初の「一体型」完全ワイヤレスイヤホン。これまでTW1、TW2など、イヤホンを取り付けるワイヤレスアダプターはありましたがイヤホンが一体になったいわゆるTWS(トゥルーワイヤレス)は初となります。
SHUREはSE215はじめSEシリーズがめちゃくちゃ有名。私はSE846を愛用しています。
TWSを出すタイミングとしてはかなりの後出し感がありますが、ここにきてノイズキャンセリングなし、LDACなど高音質コーデックなし、タッチ操作なし、などいろんな意味で注目を集めての登場ということになります。
私もE2CからのSHUREファンの一人として試聴なしの予約購入しました。
また散財してしまいました😇
SHURE好きとしては買わないと🙂 pic.twitter.com/5cdyQAR22D— けく (@MusicKeku) November 21, 2021
AONIC FREE開封!
本体チェック
では本体をチェックしていきましょう。
重量
AONIC FREEの基本性能をチェック
ドライバーはSE215 と同じ
ドライバーはシングルダイナミックマイクロドライバー。
SE215と同等のシングルDDのようですが、形状や、おそらく振動板も違うので音質は結構異なります。
周波数特性もSE215と同じ
- 21 Hz–17.5 kHz
超低域、超高域の音は出ない仕様。
音質の項でお話ししますが、一聴して高音域の伸びはあまり感じませんが音楽を楽しむためのツボを押さえた音質で、かなり好印象です。
バッテリーは一週間もつ
約7時間。ケースで満充電2回。
十分ですね。私は通勤での使用がメインなので1週間持ちます。
ボタンによるコントロールでストレスなし!
これいいですね!
WF-1000XM4やAnker Soundcore Liberty 3 Proなど最近のTWSはほとんどタッチ操作ですが、うまく効かず誤操作したり、最悪全く効かなくて再起動したり結構ストレスでした。AONIC FREEはボタン操作で確実な操作でストレスなし。
ボタンも本体上部にあって押しやすいです。
ここら辺はプロ用機材作ってるSHUREらしい堅実さを感じます。
【ノイズキャンセリングがない理由は?】遮音性が高いので問題なし
SHUREはすべてのイヤホンにおいてノイズキャンセリングを採用していません。AONIC FREEについても同様です。
SHUREのブログ記事にもありますが理由としては下記の通り。
- バッテリーが必要
- ヒス音、デジタル処理ノイズがのる
- 空気圧が左右で違う(いわゆる圧迫感)
- 低周波において最も有効(1000kHz以上の音、変化する音には効きづらい)
- SHUREのイヤホンは全帯域において高遮音性であり、ノイズキャンセリングよりもノイズ低減に優れている
ブログ記事は2016年のものなので、現在はノイズキャンセリングも進化してすべては当てはまらないと思います。
ですが、もともとバッテリーが必要な完全ワイヤレスであるAONIC FREEにおいても上記の考えが貫かれています。
で、実際どうなのっていうところではSHRUEのイヤホンを使ったことがある方はわかると思いますが、今までのそれと同様に非常に遮音性が高いです。イヤホンというよりコンプライのイヤーピースが優秀なんですね。電車で使っていても、ノイズキャンセリングは特にいらないなっていうレベルの遮音性です。
外音取り込みは普通に使えるし、コンビニで買いものするときも便利
利便性を求められるワイヤレスイヤホンで、必須ともいえる外音取り込みも利用可能。
音量も十分にあり、音楽の音量を抑えれば歩行中でも車の音がよく聞こえます。
また、コンビニで買い物するときとか、ふいに話しかけられたときとか、本体のボタンを押して一時停止と同時に外音取り込みモードになるので街使いでも便利
高音質Bluetoothコーデックはないが、これも問題なし
AONIC FREEの対応コーデックは下記の通り。
- aptX
- SBC
- AAC
最近流行り(?)のLDACやaptX HDなどの高音質コーデックには対応していません。
とはいえ、高音質コーデックはどうしても接続がどうしても不安定。特に電車での移動中はノイズや途切れが頻繁にします。
WF-1000XM4はLDACは伝送量を抑えれば比較的安定しますが、それでもaptXやAACと比べれば「途切れない安心感」が違います。今のところ完全ワイヤレスには不要という考え方でしょうね。
DAW並みの詳細な設定ができるイコライザー
注目のイコライザーは、イヤホン本体に保存ができるハードウェアイコライザーです。
設定するときはアプリを使いますが、一度保存すればアプリを開く必要はなく、どのデバイスでもイコライザが効きます。
このイコライザですが、
- ローシェルフ
- ハイシェルフ
- パラメトリック×2
の合計4つのポイントでかけることが可能。
さらに、
- 周波数
- ゲイン
- BW(バンドワイズ)
の3つを小数点以下の単位で設定可能。
なんですが正直、そこまで必要ないかなーという気がしています。
理由として、
- AONIC FREEの音質自体が微細な変化を表現できるほど繊細なものではない
- 一般ユーザーには難しいかも
- 設定自体が面倒
だからです。
とはいえ、人によって微妙に好みの違いがあるのが音の世界なので、自分の好みを追い込んで設定できるのはいいと思います。
僕はもう少しローエンドとハイエンドが欲しいといいなと思ってローシェルフで80Hzとハイシェルフで12kHzあたりからちょっと持ち上げています。
それと、プリセットがいくつかあるのでそこから自分好みに変更することも可能です。
普段使いでは問題ない防水性
IPXの表示はありませんがSHUREのページでは汗は少しの雨風などへの耐久性を備えていると記載があります。普段使いではまずまず問題ないでしょう。
マルチポイントは不可、マルチペアリングは可能
マルチペアリングが可能です。台数は公表値がなくわかりませんが、とりあえず2台はペアリングできました。
マルチポイント接続はできないようです。
イヤーピース
イヤーピースはコンプライのものが付属しています。SHUREのSEシリーズとノズル径が同じなので、SEシリーズで使えるものはAONIC FREEでも使用可能。
AONIC FREE音質をレビュー
某価格サイトの口コミ欄でSHUREに問い合わせた方がいらっしゃって、SHUREからの回答として
- ドライバーはSE215と同等
- アンプはTW2と同じ
だそうです。私はTW2は未聴ですが、SE215を有線で使用しております。
確かに、周波数特性はSE215に近いいわゆるかまぼこ型ですね。高音域の伸びがやや足りない感じも似ています。スペック上の周波数特性も21-17.5kHzと同じ。
ですが、SE215よりも音場が広く一音一音にディスタンスを感じます。それに低音がSE215より量感があるように感じますね。筐体の違いが音質に変化を与えているのでしょう。
で、このAONIC FREE、届いてから10日間くらい使っていますが、最初に聞いた時よりよりもかなり印象は変わりました。エージングというよりAONIC FREEの良さがわかってきたという感じです。
繊細な表現力はありませんが、なんというか純粋に音楽を楽しめる感じがするんですよね。オーディオファンが陥りがちな「音」を楽しむ行為ではなく、リズム、メロディ、和音をしっかり聞かせて「音楽」を楽しませてくれる。WF-1000XM4も持っていますがロック、ポップスをカジュアルに楽しく聴きたいときは迷わずAONIC FREEを選びます。
試聴はAmazon Music Unlimitedのロスレス音源を使用しています。
低音域
AONIC FREEの低音は、重低音は感じないものの締りと豊かさのある低音です。SE215よりも量感を感じますね。
Silk Sonikの楽曲を聴いているとしっかりタイトなキックとクリアなベースラインに体を揺らしたくなりますね。
ボワーンと不明瞭な低音ではないのでご安心を。
中音域
AONIC FREEは前述の通り若干かまぼこ型の特性です。ヴォーカルはしっかりとセンターに位置し最前面で歌ってくれます。男性ヴォーカルも女性もヴォーカルも気持ちよく聴かせてくれますね。やっぱりAONIC FREEはポップミュージックにとても合う音質です。
サ行がきついと感じることもないですね。非常に好印象です。
高音域
前述しましたが、超高音の伸びはいまいちと感じるかもしれません。とくにハイレゾ耳になっているとそれは顕著だと思います。
それでも10kHzくらいまでの高音はそれなりに聞かせてくれます。
イコライザー(ハイシェルフ)で12kHzくらいからちょっと持ち上げてみましょう。
AONIC 215との比較
- 音質は似ている
- AONIC 215は有線でも使用可能なので音質アップもできる
- AONIC215は他の有線イヤホンに変えることもできる
- AONIC 215は耳掛けなので装着が若干面倒
ドライバーが同じで音質が似ているのでどっちか迷うという方もいると思います。
最大の違いは有線でも使える点です。音質を追求したくなったら有線やDAC、アンプを使うなど音質アップを目指してカスタマイズを楽しむことができるので、そっち方面も視野に入れるならAONIC 215がおススメです。
装着のしやすさは断然AONIC FREEですね。FiiOのUTWS3を使っていましたが、耳掛け式はやっぱり面倒です。マスクをしている時もかけづらいですしね。利便性を求めるならやっぱりTWSのAONIC FREE。
AONIC FREEメリットまとめ
- 高音域の伸びは惜しいが、おいしい所をしっかり聞けるツボを押さえた音質で特にポップミュージックが楽しい
- ボタンによる確実な操作でストレスがない
- 細かいEQ設定ができるので音質の追い込みができる
- 本体への設定保存ができるのでアプリを立ち上げる必要がない
- 装着感がよく遮音性も高いイヤーピース
- 物理遮音なのでノイズキャンセリング独特の圧迫感がない
- 通勤電車でもストレスのない高い接続安定性
個人的には上2つが特に良いと感じました。
音質はポップミュージックを聴く際にはかなり訴求力のある音で、WF-1000XM4なんかも持っていますが、音楽を聴くときはもっぱらこっちを使ってしまいますね。
それとボタン操作はとにかくストレスがなく使いやすいです。これに慣れるとタッチ操作の使いづらさが際立ってしまいます。
AONIC FREEのデメリットまとめ
- 伸びやかな高音域はない
- 有線ハイエンドのような繊細さはない
- やや大きめのケース
- 無骨なデザイン
- 高音質コーデックは非対応
やはり最近のハイレゾ系のイヤホンと比べると高音域が物足りないと感じるかもしれません。また、価格が価格というのもありますが、有線ハイエンドの繊細さはありません。
とはいえ、個人的には好みで、ポップミュージックをカジュアルに聞くときにはよく使っています。
結論AONIC FREEはこんなあなたにお勧め
- ポップミュージックをよく聞く
- 分析的な聞き方はしない
- TWSのタッチ操作にイライラしている
- イコライザーをよく使う
- ハイレゾは聞かない
- マルチポイントは必要ない
AONIC FREEはSHUREらしい堅実な作りが目立つ、完成度の高いTWSです。
SHRUEのカナル型イヤホンが好きで、最近のTWSにはあまり惹かれないという方におすすめです。