秋葉原のeイヤホンさんで試聴してきた感想を「SE846リケーブル試聴レビュー」にもまとめていますが、あまりの衝撃に5万円という価格に二の足を踏んでいたものの結局買ってしまったNOBUNAGA Labs澪標 極をレビューしたいと思います。
NOBUNAGA Labs澪標 極について
NOBUNAGA LabsはWISE TECHのオーディオブランドで主にイヤホン、ヘッドホンケーブルを製造販売しています。
この澪標 極(みおつくし きわみ)はNOBUNAGA Labsのフラグシップシリーズ「SUPREME」の4.4mmバランス端子バージョンになります。他にも端子の違いで、篝火極(3.5mmシングル)、胡蝶極(2.5mmバランス)などがあります。
NOBUNAGA Labs澪標 極の外観をチェック
澪標極の線材はゴールドコート。非常に高級感がありますね。
かなり太いですが、被膜が非常に柔らかくしなやかで取りましはいいです。
つけ心地もよく、カバンに雑にしまっても絡まることも少ない。高級感があるうえに、非常に扱いやすく文句なしです。
ただ、パッケージだけは、下位モデルと共通でかなり安っぽいのがちょっと残念。この価格なら専用ケースとかあっても良さそうですけどね。
つけ心地や取り回し、タッチノイズをチェック
被膜はよくあるPVCですが、非常に柔らかくしなやか。実際に耳にかけても当たりが心地よく不快感はありません。
通勤時に歩きながら使用していますがタッチノイズもほとんど感じません。ちょっと触ったくらいでは不快なノイズはなく音楽に没頭できますね。すばらしい。
しなやかな作りなので取りまわしもいいです。また、カバンに入れておいても絡みづらいのも良いですね。
それと、気温の低いところで使ってもケーブルが硬くなることもありませんでした。非常にハイクオリティーな作りで好感が持てます。
ただ、ケーブルが太いため、マスクを着けていると耳からずれ落ちることがあります。が、スライダーを上げることで解消されます。
澪標極の線材、仕様などをチェック
仕様はパッケージ裏に記載があります。
特徴的なスペックをピックアップします。
- 純銀ゴールドコート
- 16芯編み
- 1.2m
線材は4N純銀ゴールドコート
線材は4N純銀でゴールドコートが施されています。一般的に純銀は銅よりも抵抗が低く、オーディオ特性に優れていると言われています。が、経験上、純銀線はやや棘のある音質であまり好きではありませんでした。澪標極はゴールドコートをしているためか、純銀らしい高音域の伸びはしっかりと感じられるのにキツさが一切ありません。
狂気の16芯編み
澪標 極は4N純銀ゴールドコートの芯線を16芯編みにしています。イヤホンのケーブルとしてはかなり太い部類。MMCXプラグと同じくらいの太さですね。半田付けが大変そう…。
16芯編みにすることで情報量が格段に増したそうです。「SE846リケーブル試聴レビュー」でも書いていますが、実際同じ線材8芯編みのノーマル澪標と比べるとその差は歴然でした。ノーマル澪標では沈んだでいた音が澪標 極ではすべての浮かんでくるように感じます。
長さは丁度よい1.2m
移動時にポタアンなどで使用するのにちょうどいい1.2mですね。
【音質レビュー】イヤホンのレベルを押し上げる澪標極はすごいケーブルです
音質をレビューします。イヤホンはSHURE SE846(バランスノズル)アンプはiFi xDSD Gryphonです。SE846についてはシュアーSE846レビュー【至高のモニターサウンド!】で、iFi xDSD Gryphonについては【ポタアン最終形態】iFi xDSD Gryphonレビューでレビューしています。
音源はAmazon Music UnlimitedやApple Musicのロスレス、ハイレゾ音源やAudirvanaの手持ち音源です。ロスレスストリーミングについては【徹底比較】ロスレス、ハイレゾ音楽ストリーミングを比較で解説しています。
NOBUNAGA Labs澪標 極に付け替えるとイヤホンのポテンシャルをグッと押し上げる感覚を得ることができます。こんな音が出せるんだ!っていう感じ。音質をまとめると下記になります。
- 低音から高音域までグッと伸びのある音になる
- 情報量が増す
- 一音一音の主張がすんごい
- 生楽器がより生楽器らしく
低音から高音域までグッと伸びのある音になる
NOBUNAGA LAbs澪標 極にリケーブルするとSE846の底力をぐっと極限まで引き出してくれるような感じです。特にSE846ではやや不足がちだった高音域をしっかりと再生できるようになったのは嬉しいところ。そして低音に関しては、もともと得意なSE846ですが、澪標 極ではさらに深化します。でありながら全体のバランスを崩すことなく楽曲を下支えしてくれて更に魅力的なものになりました。
大比良瑞希「ムーンライト」は存在感たっぷりの太いシンセベースとアタックと余韻が心地いいハイハットが魅力ですが、澪標 極ではそれらがさらに心地のよく開放感のあるものに感じられます。シンセベースはより太くよりクリアに、ハイハットはよりリズミカルにより響きが豊かになる印象です。でありながら、主役のヴォーカルはあくまで主役として引き立てているのがこのケーブルのすごい所です。もちろん、SE846のポテンシャルあってこそ、ではありますが、このクラスのイヤホンであればさらに一皮むけることは容易に想像できます。澪標 極はそれくらい明確に変化を感じ取れるケーブルです。
全体の情報量が増し増しになる
一聴して情報量の多さに圧倒されます。店舗で試聴したときもメチャクチャ驚きましたが、改めて静かな部屋で聞いてもう一度驚きました。「録音されたすべての音を余すことなく表現」しているような感覚です。
緻密なアレンジが魅力のジェイコブ・コリアーの「Never Gonna Be Alone」を再生してみます。冒頭では鳥のさえずり、全編通してキラキラとしたシンセサウンドが小さめにミックスされていますが、なんとなく聴いていてもしっかりと聞こえます。澪標 極の情報量の多さを感じとれますね。こういった緻密で音数の多い楽曲を再生するとこのケーブルのすごさが実感できると思います。
一音一音の主張がありながら暑苦しくならない
NOBUNAGA Labs澪標 極は一音一音に主張があるのに、各音に目を向けると控えめというか、相反する2つの要素をあわせ持った珍しいケーブルだと思います。
椎名林檎&砂原良徳「JL005便で」は緻密かつドラマティックなテクノサウンドに椎名林檎の艶のあるヴォーカルが映える曲。高音域は粒立ちの良さが際立ち、ベース、キックはタイトにしっかりと下支えして安定感があります。ヴォーカルは芯がありながら艶感もしっかり表現。
倍音の再現能力が上がり生楽器がより魅力的に
NOBUNAGA Labs澪標 極に変えると倍音の再現能力がグッと上がるおかげで生楽器の表現力が格段に魅力的なものに。
上原ひろみのアイソレーションでは、芳醇に響くヴァイオリン、ヴィオラに聴き惚れていると、スピーディなアタックともに浮かび上がるピアノに自然と視線が向いた。質感としては硬すぎずソフトすぎず程よく角の立った心地の良いもの。良いぞ良いぞ。チェロもほどよく低音を響かせて楽曲に厚みを持たせます。全体のバランスも良く音楽に浸ることができました。
NOBUNAGA Labs澪標 極みは高いけど買ってよかった
結論、買ってよかったです。今までのリケーブルのイメージとしては「ちょっと音質を変化させて好みに近づけるもの」と思っていましたがNOBUNAGA Labs澪標 極はイヤホンのポテンシャルを極限まで引き出すようなすごいケーブルだと感じました。高いけ驚くほどの音質アップで満足度は非常に高いです。