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NEUMANN NDH 30 レビュー【至極のモニターサウンド】

  • 2023年3月16日
  • Note

NEUMANN NDH 30を購入してしばらく使ったのでレビューしていきます。使い心地良し、デザイン良し、音は至極のモニターサウンド。刺さる人には刺さるヘッドホンです。

リスニング用途としてレビューします。

NEUMANN NDH 30

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NDH 20とNDH 30との違い

NEUMANN NDH20

NDH 20はNEUMANN初のヘッドホンで2019年4月に発売。およそ2年半の時を経て登場したのがNDH 30となります。密閉型であるNDH 20の開放型バージョンがNDH 30。どちらも38mmダイナミックドライバーという点ではどちらも同じですが、今回NDH 30用に新たに開発したドライバーを使用しているようです。

開放型である点と新ドライバーによって特性が若干異なります。

NDH 20 NDH 30
型式 密閉型、ダイナミック 開放型、ダイナミック
再生周波数 5Hz-30kHz 12Hz-34kHz
インピーダンス 150Ω 120Ω
最大音圧レベル 114dB SPL 104dB SPL
質量 388g 352g

実際にe☆イヤホン さんの店舗でNDH 20とNDH 30を聴き比べてみましたが、そのサウンドは全くの別物に感じました。

NDH 20は密閉型らしい、ややこもった音で不明瞭、かつ音場も狭く感じました。一方でNDH 30は高音域の伸びが非常に良くスカッと晴れ渡るようなサウンドで、音場も広く、一音一音の明瞭度が格段に良く感じました。とにかく定位のわかりやすさが別格で、型式とドライバーの僅かな違いでここまで変わるのかといった印象でした。

申し訳ないがNDH20は全然好きになれなかったんだわ

NDH 30外観、付属品をチェック

それではNDH 30の外観から見ていきます

 

開けるとこんな感じ
さらに左側を開けると

 

ケーブルと説明書、ポーチなどの付属品
付属ケーブルは6.3mm変換プラグ付きの3.5mmシングルエンド1本
クイックガイドとか
くいっくガイドはこんな感じ
ヘッドホン本体を入れるポーチ。ペラいポーチなので保護としては心許ない感じ。
左にくぼみがありますが、おそらくケーブルの収納に使うもの
NDH 30本体とケーブルを見ていきます
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NEUMANN NDH 30本体

まずは本体から見てきます。

全体的に高級感があり、しっかりとした作りで好感触。

ヘッドバンドを上から。表面加工のされたサラッとした手触りのアルミ。
頭に当たる部分はこんな感じ
触ってみると柔らかめのウレタンっぽい中材。表面は合皮のようで、やや薄め。
スライダー伸ばし切るとこんな感じ。カチカチという段階的なスライダー。そんなに硬くはない
スライダー
裏側も同じ感じです。NDH 30はケーブル方出しなのでヘッドバンドを沿うように導線が通っています。
ハウジングとの結合部にNEUMANNのマーク。クール!
イヤーパッドはこんな感じ。ハウジングカバーがオレンジでいい感じです。
内径は6センチほどで。平均てきな耳の大きさならすっぽり覆えると思います。
イヤーパッドは2.5センチほどの厚みがあって、柔らかく長時間使っても痛くなりませんでした。
ハウジングのグリルは黒の金属製
斜めから見ると丸い出っ張り
よく見ると四角の網目状ではなく、ハニカム構造になっています。開放型とはいえ音に関係する部分であり、こだわりを感じます。
また、ハウジングは後頭部側に90度回転します。 顔側には僅かに回転する程度です。
そしてNDH 30に特徴的なのがこの折りたたみです。持ち運びを意識したモデルだけあり、かなりコンパクトになりますね。ここまで変形すると心配なのが可動部の故障ですが、触った感じでは結構丈夫に作られている印象です。本体重量は352gで、持った感じも、付けた感じも重さは感じませんでした。
マニュアルの通りこんな感じでたたみます

ロック可能なケーブル

ケーブルを見ていきましょう。

付属ケーブルは変換プラグ付きの1本のみ。表面は布製。ゴールドにオレンジのラインが効いていてクールです。
ヘッドホンジャック側。プラグの径は2.5mm、プラスチックの部分はロックがかかるようにくぼみができています。
差し込んで右に回してロック。

付属のケーブルは3メートルもあるので装着したまま、物を取りにちょっと立ち上がってもかなり余裕がありました。

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方出しのためリケーブルによるバランス化はできない

NDH 30は方出しとなっているため、流行りのバランス入力は基本できません。

NDH 30はR側の方出し

付属のケーブルもバランスケーブルではないものの、内部はクロストークを抑えた構造になっているとのことで、音質面での心配はあまりないでしょう。

着けけ心地や使い勝手は良好

装着してみると非常に軽い付け心地です。重さは352g

側圧もそれほど強く感じません。

今手元にあるヘッドホンで側圧の強い順に並べると、

  1. beyerdynamic DT1990Pro
  2. HIFIMAN SUNDARA
  3. HIFIMAN ANANDA
  4. HIFIMAN Arya
  5. NEUMANN NDH 30
  6. SENNHEISER HD800S

といった感じです。

一言で言うとちょうどいい側圧

また、NDH 30はハウジングが前後に回転するので、フィット感も良好ですし、リスニングポイントも合わせやすいのが良いです。

一つだけ気になるのはケーブルが右出しなところ

一つだけ気になったのはケーブルが右出しなので時々左右間違えてつけてしまう点です。片出しのヘッドホンは左側からケーブルが出ていることが多いのですが、NDH 30は右側なので慣れるまで使いづらさはあるかもしれません。

慣れれば問題ないけどね!

音質をチェック

色々聴いていきます。

こんなアンプで聴きいてます

アンプはRNHPまたはTOPPING A90 Discrete、DACはTOPPING A90SEです。どれもいい製品です。

ざっと聴いた感じ、モニターヘッドホンらしくジャンル無視で何でも巧く鳴ります。

タイトなリズムに悶絶

特に良かったのは低音をしっかり効かせながらでタイトで小気味良くリズムを刻む音楽がいいです。FUNK、SOUL、R&B、HIP HOP、サンバとかですね。

例えば上記のような曲を再生してみると、ほどよく厚みのあるベースラインとタイトなドラムスに自然と体を揺らしています。ヴォーカルやコーラス、パーカッションなどに耳を向けるとしっかりとリバーブが聞き取れて奥行きも、横の広がりも感じられてとてもいい感じです。

リズムがリズムが気持ちい〜つって
他にはStevie Wonderの「Living For The City」では粘っこいグルーヴが最高だった。
左右に揺れるキーボードに小気味のいいハイハットにタイトなスネア、タム、バスドラ。粘りのあるベースがグルーヴの要。中盤にのハンドクラップはハリがあり気持ちい。これだけバックトラックがいいのに音域の広いヴォーカルにも一切干渉しないところがNDH 30の素晴らしいところだ。

定位が明確だから音を追いかけるのが楽しい

NDH 30は定位が明確なので音を追いかけるのが楽しくなります。

例えばミスチルのようなバンドサウンドを聞いてみると、ギターはリバーブだけ右に飛ばしてるなとか、ハイハットは左に寄ってて、ハイハットの裏拍でシャカシャカ鳴ってるやつは右で、とか。

細かな音の配置も手に取るようにわかるのがめちゃくちゃ楽しいのよ!

主役はセンターにありながらも…

そして、NDH 30はとにかくセンターに定位させたヴォーカルとかサックスとか主役が主役らしく一番目立つところに鎮座。

いわゆるヴォーカルが近いってやつ

上記はどちらも、もともとそういうミックスですが、NDH 30で聞くと格別。ヴォーカルもサックスもセンターで存在を主張しながら細かいニュアンスもしっかりと表現。とはいえ、他の楽器が脇役に徹するわけではなく、耳を向ければ演奏者の確かな息遣いが聞こえてくる。

NDH 30はそんな至極のヘッドホンなんだって!

価格が高いので当然と言えば当然ですが、ミドルクラスヘッドホンレビューで紹介したどのヘッドホンよりも格上の音質。質感が比較的近いヘッドホンとしては名機HD650だけど全体的な解像感や正確さで言えば圧倒的にNDH 30の勝ち。

HD800Sと聴き比べ

NDH 30とHD800S

ceroの名盤ファーストから「Yellow Magus」を再生。NEUMANN NDH 30、冒頭のキーボードがスムースに左右に揺れる。ドラムの鳴り方がおかしい。ヘッドホンの鳴り方じゃない。ヴォーカルが近くスタジオのラージモニターで聞いているような錯覚を覚えます。

SENNHEISER HD800Sにしてみます。NDH 30と比べると高音域が繊細、かつ鋭い。低音もかなり下の方まで出ます。NDH 30の方がやや上下帯域が狭く感じますが、HD800Sが出過ぎなだけで、NDH 30でも何も不満は感じません。

そしてHD800Sはヴォーカルが、というか全体的に音が遠くから聞こえる印象です。やっぱり音場はHD800Sのほうが広大。NDH 30は横の広がりはあまり感じないものの、不思議と奥行きはNDH 30の方が感じます。

NDH 30が、一つ一つの音がどう配置されているか耳で追いかけて楽しむタイプなら、HD800Sは広大な音場に囲まれてその世界観にどっぷり浸って楽しむといった感じです。

この二つを比べるとNDH 30は圧倒的にモニター向けのサウンドでHD800Sはリスニング向けです。私は何方かと言えばモニター向けのサウンドが好きです。でもHD800Sも好きです。方向性が全く違うので、どちらも売らず2本持ちでしばらく楽しみたいと思います。

結局どっちも好きってんだから!

アンプを色々変えてみる

RNHPからA90 Discreteに変えたところ、全体的な解像度が増して、表現が緻密になった印象です。再びRNHPに変えてみると、高音域に丸みが出てヴォリュームをあげても心地いいです。この二つのアンプはどちらもいいアンプで、ヘッドホンによってはあまり違いがわからず、どっちで聞いても十分楽しめる音質です。が、NDH 30で聞くと結構違いがあることに気づきました。NDH 30はアンプの違いもハッキリと表現するほど、正確な描写力を持っていると言えるでしょう。

ポータブルアンプのiFi xDSD Gryphonでも聴いてみます。(iFi xDSD Gryphonについてはこちらでレビューしています)NDH 30はインピーダンスが120Ωで鳴らしやすい部類とは言えません。一般的なポップスでiFi xDSD Gryphonの音量は95くらい(MAX値は106)で十分なレベル。ダイナミックレンジの広いクラシックとかだと流石に余裕はないですが、静かな部屋で聞くなら問題ないでしょう。音質も満足のできるものです。持ち出して使うなら、これくらいパワーのあるアンプは欲しいところですね。

NDH 30はバンドサウンドが好みなら買っていい1本

NDH 30を実際に使って感じたメリットとしては下記です。

  • 音の配置が手にとるようにわかる
  • 横の広がりは普通だが奥行き感がすごい
  • 質感はややドライではあるものの、全体の描写は緻密でハイセンス
  • 低音域はタイトで必要十分な量感
  • 高音域の繊細な表現も得意
  • 装着感、フィット感は良好で長時間でも疲れなかった

上記です。

eイヤホンさんで30〜50万クラスのヘッドホンをいくつも試聴させていただきましたが、やや癖があり特定のジャンルではめちゃくちゃいい。でも、そのために数十万を出せるほど僕は裕福ではないので、10万以下でなんでも聴けるこういうヘッドホンは大歓迎です。

聞けば聞くほど好きになるヘッドホンですね。ファーストインプレッションでは定位が掴みやすく癖がないヘッドホン、くらいの感想しかなったんですが、今では毎朝目を覚ました時にこのヘッドホンで聞く時間が楽しみでワクワクして寝起きが良くなったくらいです笑

NEUMANN NDH 30

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